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「進歩 人類の未来が明るい10の理由」本・・・実は最も恵まれている「現代」ポジティブさを与えてくれる

「進歩 人類の未来が明るい10の理由」 ベストセラー

 

作者: ヨハン・ノルベリ

出版社: 晶文社

発売日: 2018年4月24日

 

ニュース番組で報道される貧困、差別、災害、少子化、高齢化・・・もう地球は終わりだ、末期だ、人類は滅びる。そういった悲観論に一石を投じる本。人類が実はここ2世紀で大幅に進歩しており、驚異的な進歩を経て「人類史でもっとも最高の生活水準にある」という。

まず食糧不足の改善、300年前までは先進国ですら食べ物の余裕がなかった。18世紀のヨーロッパの人々の平均摂取カロリーは現代のアフリカの最貧国の平均よりも少なかった。21世紀の今、飢饉による死者の数は100年前の50分の1にまで急減している。

寿命も大幅に伸びた。医学の発展、病気の駆逐、衛生環境の改善。水回りが汚染されることもなくなり、コレラチフスも過去の病気となった。それは大都市に限らず整備された上下水道、ごみ処理施設に見られる。中世の欧州では下水がなく、宮殿の廊下にすら排せつ物が転がっている状態だった。それらが雨で流れ、飲料水が汚染され、伝染病の現認となったが、それらはすべて解決したと言える。

暴力も減少し、治安も大幅に改善した。中世時の時代、処刑や拷問が娯楽として当たり前に日常にあったが、その風景も今や昔。民主主義の発展と個人主義の台頭、自由主義の発展で、治安は実は比べ物にならないくらいよくなっている。銃社会や犯罪ばかりがクローズアップされるが、この悲観論は的外れだということだ。

ただ、その分各地での紛争や政治的な弾圧などは増えたが、平和運動やデモなどでの個人主張の自由は与えられている。しかし各国で経済成長が高まるに従い、少なくとも民主主義国家同士では安易に戦争をしない傾向が強まっていると当書は語っている。

 

ノスタルジーのあまり現代を否定し、昔はよかった、過去を賛美する人が多い中、現代が実はピークである、世間の共有している「昔」が実は悲惨で過酷なものだったということ、現代が小さな問題はあるにせよ非常に裕福で恵まれている、悲観は何も生まない。この本は楽観論を与えてくれる。

生きることは過去を振り返ることではない、と。明日を生きる活力を与えてくれる本。