はもさんのお気に入り日記

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「コーヒーのすべて」本・・・珈琲マニア必携!伝説的バイブルを再編集

作者:ウィリアム・H・ユーカーズ

出版社:KADOKAWA

発売日:2017年11月25日付

 

 

アイスコーヒー、ミルクコーヒー、ブラック、キリマンジャロ、アラビカ、モカエスプレッソ、モカマタリ、カプチーノアイリッシュ、デミタス、アメリカン、人類史に欠かせないほど浸透した「珈琲」。これほど愛されるようになった原因を知りたい。コーヒー党必携のバイブルである1935年にアメリカで出版された「All About Coffee」を再編集して読みやすく文庫化したのが本書。

著者はアメリカ人で、1837年生まれのウィリアム・H・ユーカース。コーヒーやスパイスを扱う業界で専門誌の編集者として働いた後、30歳を前に起業、「ティーアンドコーヒー・トレードジャーナル」を刊行、編集長に就任した後、1905年にコーヒーに関する情報を集めるため、世界中を旅してまわった。

ブラジル、スマトラ、コロンビア、中国、日本、日本、アフリカ、そしてヨーロッパへ。科学的な研究や関係者のコメントもあわせて「空前絶後」「百科事典」とまでいわれる「All About Coffee」を刊行。その中からコーヒーに関する歴史、生豆の特徴、器具や技術、の部分だけを取り出してまとめたのがこの文庫。全体の2~3割ではあるが必要な所は十分。

たとえばコーヒー豆を産するコーヒーの木、エチオピアアラビア半島に自生していた野生のコーヒーが熱帯地域に広がった。コーヒーの豆の発芽能力は運ぶ時間が長いほど失われていく。すぐに伝播はしないものの、アラビア人の手によって、ゆっくりと各地に広がっていった。

その後、ヨーロッパ各国にまで伝わっていくのだが、当時は抵抗なく受け入れたのはオランダだけ。ドイツのフリードリヒ大王は「コーヒーを飲むな、ビールを飲め」とお触れを出すほど。しかもその彼はコーヒーの焙煎をライセンス化して、手数料を払わせようとしていたのだから驚く。そういった権力者、施政者への反動、自由や平等、民主主義につながるものとしてコーヒーが民衆に浸透していった背景もある。

そうしてみるとなぜイギリスではコーヒーよりお茶の方が好まれるのか、アメリカではコーヒーがよく飲まれるようになったのか、がわかるような気もする。

世界的にも貴重なコーヒーの研究本。基礎的な知識はこれで十分すぎるほど。

ハンディサイズの文庫なので、一度目を通しておくといいのでは?